| アテネオリンピックレポート(8月24日〜25日) |
| 2004.8/26 |
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| 日本馬術連盟常務理事 渡辺 弘 |
| 8月24日 |
| 障害馬術競技団体第1回目走行(兼ねる個人第2回目走行)が午前9時から、20時30分からは団体第2回目走行(兼ねる個人第3回目走行)行われました。20時30分からは常陸宮両殿下が表彰式終了後の午前1時近くまでご観戦されました。 コースはダブル・トリプルを含む全長640m14障害17飛越規定時間96秒(2回目は芝の傷んでいる場所から障害の位置を変更したため2秒延長)となりました。見所は、まず第3障害オクサーから第4障害垂直・オクサー2完歩のダブルまでは5〜6歩、このダブルから第5障害垂直までは6〜7歩とリズムがつかみにくい設定、次に第6障害垂直から左に90度回転して4.3mの水濠後右に90度回転しての第8障害オクサー5歩で第7障害オクサーのS字の回転ライン、そして第11障害のオクサー・垂直・オクサーのトリプル後5完歩で垂直、また、最後の第14障害幅175cmのオクサーは奥の横木が見えにくく難関となりました。20時30分からの走行は照明の下での走行となり、特に、金銀に輝くギリシャコインを模った第4のダブル障害、第7の水濠でのトラブルが目につきました。ナイターでの影響を明らかに受けている馬が多く見受けられました。障害減点は一部の障害に片寄らず、どの障害も落下の対象となるような設定となっていました。 出場順は前日の抽選により日本は国として2番目となり、2番に日本チームのトップとして小畑選手が出場しました。若馬オリバーQは、第1障害から怖がる素振りを見せ、押し込みながらの飛越となり、第2垂直、第5で落下、水濠着水、第10の物を見やすい変形垂直で拒止落馬となりました。経験の浅いオリバーQにとっては、芝の大きな舞台は荷が重過ぎたのかもしれません。2回目の走行は出場しませんでした。2番手の林選手は、果敢に前半の難所を乗り切りましたが、第9、10、11c、14障害を落下、往年の弾むような切れがなく54位に後退。3番手の渡辺選手は、22日にも増したスムーズな走行で、並み居る超一流選手たちが減点を重ねる中、ゆったり確実に1つづつ障害をこなしていく様子に観客から思わず感嘆の声が漏れるような感動のできばえで、何と障害減点なくタイム減点3と13位に浮上しました。4番手の杉谷選手は、第3からのラインでリズムに乗れず、第4ダブル、8、12、14と落下、CSIOローマでのような前進気勢がなく飛越にためができない状態で61位に後退。団体では16か国中の13位となり、10位までの第2走行には進めませんでした。そにため個人第3走行目として、20時30分からの競技に小畑選手を除く3選手が出場しました。この出場順は、団体参加の10カ国(ドイツ、オランダ、アメリカ、スウェーデン、スイス、ベルギー、ブラジル、イタリア、アイルランド、韓国=フランスが10位だったが辞退したため11位の韓国が繰り上がり)の前に個人参加の25名が出場しました。日本の1番手の杉谷選手のラマルーシ号は、この馬の良いときのジェスチャーである障害間での跳ねる素振り見せながらの走行で、「今度は良いぞ」の感触がありました。期待に違わず切れのある飛越で2落下で51位と挽回し、辛くも27日の決勝ラウンド(45選手が参加できますが、1カ国3名までのため順位の繰上げとなります)に進出できました。2番手の林選手のスワンキー号は、集中力が途切れ、落下が続き第10障害後に棄権しました。3番手の渡辺選手は、前回までの走行での踏切り位置より少し近くなっていたためか、4落下とタイム減点2となり24位での決勝への進出を決めました。オリンピック前にナイター競技での練習では、踏切が遠くなる傾向にあったと聞いていますが、その対応で近くなり過ぎたのかもしれません。しかし、3回の走行で4落下しかしていないのですからオリンピック選考対象競技会での内容がまぐれでなく、本番でも通用するとの判断を後押しする結果となりました。 団体では、ドイツがまったく他国を寄せ付けず、3選手が終了した時点で金メダルを決めてしまいました。馬の故障で参加できなかった世界ランキング1位のマーカス・アーニングの穴埋めを、マルコ・クッチャーとモンテンダー号が完璧にできる層の厚さには到底他の国にはまねできないことです。それにしても、ドイツの選手たちの完璧な、計算尽くされた寸分も狂いのない騎乗振りにはため息が漏れるばかりです。それに騎手たちの要求に100%答えられる馬たちの素晴らしさは、障害の高さを10cm以上高くしても他の国と勝負にならないのではないかと思わせるほど力の差を感じさせられました。5個目の金メダルを獲得したドイツのビアバウムは勝利インタビューで、予備選手に回ったアーニングの後押し、伝統的な馬術大国、圧倒的に多数の乗馬、乗馬繁殖産業の充実、馬術競技会の充実、乗馬人口の多さが金メダルをもたらしたと発言していた。 銀メダルをかけてアメリカとスウェーデンがジャンプオフを行い、3選手が終了したところで両国全員障害減点がなく7秒近いタイム差(上位3選手の減点とタイム合計による)をつけられたスウェーデンが棄権してアメリカの銀メダルが決定しました。 競技終了後の表彰式では、ドイツ選手たちが式の前からヘルメットを高々と放り投げ乗りに乗ってのメダルセレモニーとなり、式後にはドイツ選手どうし水濠に投げ込み観客も帰らず喜びを分かち合っていましたと、会場にいた常陸宮両殿下のご説明役を勤めた安岡理事長から聞きました。私はその頃、オリンピックメイン会場に隣接する国際メディアセンターで馬術競技会場から送られてくるテレビ映像を見ながらNHKのアナウンサーと共に慣れない解説を担当していたため、残念ながら会場の雰囲気を味わうことができませんでした。 |
| 8月25日 |
| 今日は、馬場馬術競技個人最終種目のグランプリ自由演技で、15時30分からグランプリとグランプリスペシャルの得点%の合計の上位15頭(各国3頭まで)が参加して行われました。個人の順位はこの3種目の%合計により決まります。出場順は、それまでの2種目の%合計によるリバースオーダー(成績の下位から)となります。 自由演技では、スペインのソトが79.025%の4位の成績で、それまでの12位から8位に浮上しました。グランプリスペシャルでは、集中力に欠け精彩のない演技でしたが今日は燃えました。得意のパッサージュ、ピアッフエをこれでもかと見せ付けました。最後の直線では得意の片手によるパッサージュをして敬礼と共に、両手万歳。何回も拳を突き上げ退場してからも、スタンドで観戦していたFEI会長でもあるスペインのピラ皇女にスペイン風の低いシルクハット放り投げ、闘牛場の乗りでした。ドイツのシュミットは他の馬と比較すると排気量の少ない馬で、完全燃焼をさせた演技での78.875%で5位をキープ。アメリカのマクドナルドは派手さはないが、ハッピーでほのぼのとしたそれでいて正確な演技でトータル4位。スペインのヘレサルトは総ての運動にシンクロさせた音楽の演奏で、各運動も躍動感があり76.667%の3位、アンキーはこれまでの2種目のような緊張感がなく、馬も落着きミスもなく、パッサージュ・ピアッフェで高く挙げる後肢のリズムに狂いはなく、軽快なポピュラーミュージックに乗り最高の演技で85.825%を披露しました。会場の彼方此方に陣取るオランダ応援団カラーのオレンジ色は騒然と拍手と声援を送り、後に残るウラは関係なく金メダルは決まりのような様子となりました。個人的にはあれだけ後肢を高く挙げるてのパッサージュは本来のものなのか、あれをどの馬も追求するようなことになればどうなるのか心配になります。最終演技者となった入場前のウラの表情は、非常に厳しいものでした。ウラもスペシャルの時より数段良い運動で、お馴染みの古典音楽に乗っての演技でしたが、アンキーの華やかさには及ばず83.450%で、3種目の合計では0.455%の差で、金メダルはオランダのアンキーとサラエロ号、銀メダルはドイツのウラとラスティー号、銅メダルはスペインのヘレサルトとなりました。ラスティーは今回のオリンピックを最後に引退するようです。 |