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平成17年度強化訓練合宿(海外優秀コーチ招聘)実施報告
2006年1月30日(月)から2月3日(金)までの5日間、馬場馬術
強化訓練がJRA馬事公苑にて行われました。今回の指導者はドイツ人の
ラインハルト・ニールセン氏(47歳)でした。彼は長い間、ハーバート・
レーバイン氏(故人)と彼の奥さんのカリン・レーバイン女史のところで活躍していたとのことです。現在は独立して他でやっているとのことでしたが、とても上手で指導も熱心にやってくれました。人柄も温厚で、参加者からの質問に対しても誠実に答えていました。
以下訓練内容をご報告します。(タイムテーブル ※別表)
第1日目は朝成田に到着し、そのまま馬事公苑に来て午後からの指導にあたりました。初日は参加人馬の技量とレベルを知るために、参加者の普段通りの練習を確認しました。
翌2日目からは、自ら騎乗しながらも熱心に各人馬の指導にあたりました。
指導内容としては、参加者が主体となって運動を進め、その中で必要な指示を与えるというやり方でした。もちろん参加者からの質問にもしっかり答え、必要に応じて騎乗したり、徒歩調教をしたりしました。
グランプリクラスの馬にはピアッフェとパッサージュをかなり積極的にやっていました。特に北原さんの「ホワイ・ミー」と八木さんの「ラスプティン」は踏歩変換はほぼ確実に実施する馬達なので、主にピアッフェとパッサージュに重点を置いた内容でした。特に「ホワイ・ミー」に対してはニールセン氏も大変気に入っていたようです。
三好さんの「モナミ」は競技経験としてはインター I までということでしたが、馬自身は歩毎やパッサージュが出来るということで、ニールセン氏の指示のもと、かなりハードにそれぞれの運動に挑戦していました。特に一歩毎に関しては2日目、3日目とかなり苦労していましたが、4日目位からはきれいな
一歩毎を数多く出来るようになっていました。この時の彼の指示は、よく「馬のリズムをつかむ」ことと、「脚を素早く使うように」ということでした。三好さんにとってもやり遂げたことで、今後に何かしらの自信が得られたことと思います。
木曽さんの「プラティニ」は少し敏感なところがあるということでしたが、表面的にはあまりそのような感じには見えませんでした。最近輸入されたインター I クラスの馬ということで、デビュー戦が楽しみです。
下田さんと「ムービースター」は脚の使い所が難しいらしいのですが、何でも知っている馬ということで、いつの日か乗りこなすことを期待したいと思います。
木村さんと「チビスパ」は小柄なアングロ・アラブの馬ですが、とても力のありそうな良い馬でした。顎の譲りに少し難がありましたが、彼の指示のもと、積極的に前に出すことで4日目位からは頭頸に丸みが出てきました。その結果踏歩変換の切れが良くなり、安定感が増しました。このことは今回最年少の?林舞さん(高二)にも同じことが言え、最終的には二歩毎までやっていました。
ニールセン氏がいつも言っていたことは、すべての問題に対して坐りと脚で対応するように、そして決して手綱を引き込まないようにということでした。実際に彼が騎乗すると、きれいな坐りの中で脚は外見上あまり強く使っているようには見えないのですが、馬の反応は良く、軽い動きを示していました。彼は馬の気持ちと筋肉の動きとその反応をよく感じ、捉えているようでした。そして、そのときの馬の反応と機能に応じて的確にかつタイミングよく脚と体重を伝えているようでした。この時馬の動きを硬くさせるような動作や扶助を与えないように注意します。大切なことは騎手の柔らかくもバランスの良い坐りと、馬の動きとリズムをよく感じたタイミングの良い脚です。我々が世界に対抗するためには、この坐りを体得することが最も必要なことだと思います。
坐りの三要素として、体型・感覚・パワーが含まれると思います。
体型 :バランスと柔軟性(骨格と筋肉系)
感覚 :馬の動きと機能、精神状態を感じる(経験)
パワー:馬の動きと軽さについていく(背筋力)
的確な扶助を与える(脚力)
その他今回参加した馬は経験馬ということで、外方脚の使用での作業が多かったようです。特にハーフパスや駈歩ピルーエットでの外方脚使用の要求が多くありました。いずれも脚に対しての従順性と反応を促進し、馬体の柔軟性と後肢の活気を求めていました。これも騎手の坐りの三要素が伴ってのことと思います。
これまで馬場馬術部門は、過去かなり有名で実力のある指導者を招き講習会を開催してきました。それらをきっかけに多くの日本人が海外で勉強をしています。世界の情報も随分日本に入ってくるようになりました。今後いかに世界のトップの仲間入りを果たすかが問題です。できれば若いうちに海外に馬術留学をして、少なくても10年以上または長期間滞在して技術と語学力を身につけることが必要かと思います。そしてここが一番重要なことですが、良馬を入手することです。確かに多額の費用がかかりますが、世界を目指すためには資金と時間と情熱が必要です。
最後に、強化訓練が円滑に進んだのは通訳者の佐藤靖子さんの力が大きかったと思います。現場での指導の通訳ばかりではなく、それ以外のちょっとした事柄もすぐ通訳をして状況を伝えていたので、ニールセン氏は多分あまり退屈をせずにいられたことと思います。また、古岡美奈子さんと下田ますみさんは休憩時間に彼を気遣い、いろいろお世話してくださいました。特に下田ますみさんのドイツ式スープには身体が温まったばかりでなく、心まで温まりました。
彼ばかりではなく、我々参加者も大変おいしくいただくことができ、大変感謝しております。
近々馬場馬術フォーラムが開かれます。多くの人達の声を聞き、もっと魅力ある馬場馬術を築いていきたいものです。我々馬場馬術部門も長島本部長はじめ一丸となって努力して参りますので、今後ともよろしくお願いします。
最後に参加者の皆様、お疲れ様でした。 |
照井 慎一 |
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『単純踏歩変換について』
単純踏歩変換(シンプルチェンジ)の実施地点について、各審判員及び選手間においてさまざまな意見がありますが、下記のとおり実施されるようお願いします。なお、運動課目ではJEF馬場馬術競技第3課目2006Aの経路図面を参考としてください。
記
【参考例】 収縮駈歩で、E点で右へ回転し、X点で単純踏歩変換(シンプルチェンジ)、B点で左へ回転の場合 |
※経路の説明図 |
FEI馬場馬術競技会規程 第409条2項-方向変換 直角に方向変換する時、例えば隅角通過の場合などは次の要領で行う: 収縮及び尋常歩度の場合は直径6mの円を4分の1描くようにする。 |
ということは、回転の際半径3mの円周を通って回転し、馬の体制を立直し駈歩から直ちに常歩へ戻り、3歩~5歩(常歩3歩が理想)で直ちに常歩から反対手前で再び駈歩に移り(第405条6項-シンプルチェンジ)、騎手の身体がX点上にきた時(第430条8項-競技課目の実施)に駈歩発進すればスムーズな移行ができると思われる。 馬体はX点を跨ぐことになる。 |
*ここでもとめていることは、馬が従順で緊張がなくスムーズ、常歩・駈歩ともクリアーな移行でかつ真直性があること。 |
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FEI制定の馬場馬術運動課目について
FEI制定のジュニアライダー馬場馬術運動課目予選・団体・個人の各課目が改訂され、2006年1月1日施行としてFEIホームページに掲載されておりますが、平成18年度の全日本ジュニア馬場馬術大会では平成17年度に実施した運動課目を使用いたしますので、別途、公表する大会実施要項にてご確認下さい。
今までのバージョンと新しいものとの混乱を避けるため、昨年実施したものをFEIジュニアライダー予選課目2005・団体課目2005(各2005年1月1日施行)とします。
なお、個人課目2005年1月1日施行は、国内で実施しないため馬術情報及び当連盟ホームページに掲載しておりません
また、FEIジュニアライダー馬場馬術運動課目予選・団体・個人2006の各課目については、馬術情報・当連盟ホームページには掲載しませんのでFEIホームページ
http://www.horsesport.org/でご確認下さい。
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